本日のお題:Thanksgiving Day ― 大家さんは大忙し! ―― |
11月22日(木)は感謝祭当日(11月の第4木曜日)。この日はアメリカの大抵のお宅で、家族が顔を揃えて伝統的な感謝祭の晩餐を共にするのが習わし。 感謝祭はアメリカのNational Holiday(国民の休日)。 そのため木曜日から週末にかけて休暇をとったり、連休にする企業もある。公立の教育機関も週末にかけて秋休み。(私立では例外もあるかも。何と言っても広いアメリカの事なので) 喩えるなら、日本のお盆のような感じだろうか。商店は軒並み休み。帰省ラッシュで、あらゆる交通機関、飛行機、長距離バス、列車、車の利用は大変。ハワイだと、他島や本土へ向かう或は戻ってくる人で空港がかなり混雑する。 クリスマスもアメリカでは重要な祝日だが(宗教の自由があっても、それとこれとは別ということになるらしい。^^;)、感謝祭はその由来が初期植民地時代にまで遡るアメリカ固有の重要な祝日である。 ご存知ない方のために感謝祭の由来を簡単に記しておこう。 最初の感謝祭の晩餐は、1621年にプリモス(東海岸、ボストン近郊)の清教徒が土地のインディアン(Native American)と食事を共にしたことらしい。 新天地アメリカにやって来たものの、慣れない土地での生活に疲れ苦労していた清教徒達。その彼らに地元のインディアンが食べ物を分け与え、もてなしたのが感謝祭の由来と言われている。 クリスマスがキリストの聖誕を祝う目的であるのに対し、感謝祭の目的は、常日頃自分が受けている様々な恩恵に感謝することにある。 クリスマスも感謝祭も、祝い方の基本単位は家族。その点は日本の正月やお盆相当。けれど、感謝祭はその由来から、特に恵まれない境遇の人々にも感謝祭の食事を分け与え共に祝うことがよく行われる。 で、one of 恵まれない立場の外国人留学生も、感謝祭はその恩恵に浴することができるのである(笑)。 この日は様々な団体や施設(宗教団体や軍、一般企業も)で感謝祭の伝統的な献立の夕食(或は昼食)をホームレスや低所得者、お年寄りや学生等に振る舞ったり、あるいは食材や場所、人手の提供を行う。 同様に、教授が教え子を家に招いて一緒に食事をすることもあるし、大家が店子に七面鳥の丸焼きを持ってきたりもする。(勿論、しない人も大勢いる。) 我が学生寮の大家さんは敬虔なキリスト教徒であり、する派の代表格。 感謝祭には、昼食または夕食を店子である学生に振る舞うのが毎年の決まりになっている。 学生は、自分だけではなく友人知人をゲストに呼ぶことができるのも、感謝祭の精神に則ってのことだろう。 しかし、二十から四十人分前後の食事の仕度は大変だろうと思う。 第二次大戦に従軍した経験もある大家さんは、70代も半ば。 それでも、若い後妻さんにまかせず自分で七面鳥を見繕い(冷凍物ではなく)、今朝は午前三時から起きて午後一時のランチにちゃんと間に合わせて七面鳥を焼いて持ってきた。 感謝祭の伝統的な献立を紹介する。
甘酸っぱいクランベリー・ソースを添えて食べる。グレービー・ソースもあるが、これはマッシュ・ポテトに添えられること多し。 2)カボチャのパイ。潰して裏ごししたカボチャにシナモン、砂糖、牛乳(クリーム)を加えて焼いたものが基本形。 3)オレンジ色をしたサツマ芋を蒸したり、潰したりしたもの。 4)同じく、潰したカボチャ。(Squashと呼ばれ、Pumpkinとは種類が異なるとか。和訳ではカボチャ又はトウナス。上の挿し絵参照のこと。)味付けは甘い。よくあるのは、シナモン・フレーバーで、飾りにマシュマロと生クリームをあしらったもの。 5)トウモロコシ(塩ゆでが普通らしい) さて、我が大家さんは、これらの定番メニューを準備したうえに、様々なサイズの紙皿やコップ、ペーパー・ナプキン、ナイフとフォークも揃える。その上、水と氷まで車に詰め込んでやって来て、学生をもてなしてくれるのである。 七面鳥はただ焼くだけでは済まない。冷凍の七面鳥を使う場合は遅くとも48時間前に解凍し始めなければならないとか。(今年は冷凍ものではなかったのでその分時間は節約、味もGood!、けれどお値段はもちろん高い。) スタッフィングといってパンの切れ端のようなものを中に詰め(外にもフルーツやナッツを詰めたりレシピは色々)、七面鳥の大きさに合わせて焼き時間を調整。 ちなみに、今年の七面鳥は5時間半かかったとか。それに、大家さんの秘密レシピによるグレービー・ソース作りに、つきっきりで一時間。 今年は大家さんは随分張切っていて、冷凍じゃないよ、と胸を張って いた七面鳥はいい焼け具合。ホワイト・ミート(胸肉)もダーク・ ミートも(もも肉など)美味しかった。七面鳥の焼けた汁のタップリ 染み込んだスタッフィングも大好評で、遅刻組はありつけなかった模 様。 また、マッシュポテトに特製グレービー・ソースがとてもよく合って いて、ついお替りしてしまった。 ハムのハワイアン・スタイル (パイナップル添え)も、丁度よい焼け具合でパイナップルの甘味と 良くマッチ。 ハワイらしさは他にもあって、二種類合ったサツマ芋料理のうち、一つは紫芋だった。それに、デザートにはモチ・プディングやエッグ・カスタード・パイも。 そういえば、ニューヨークから来た学生はエッグ・カスタード・パイを全く知らず、ついに手を出さなかった。(美味しいのにね!) これなら来年もいいかも?などと思う不届きな店子の胸算用を知ったら、大家さんは何というだろうか?(笑って許しくれるよね、○○さん!*^_^*) (2001.11.22) |
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