Verbose

本日のお題:自然が一杯 (1) 〜アリに睨まれた人間〜
ハワイは色々な意味で、海外でも日本人には住みやすい土地だろうと思う。
しかし、ハワイのいいところばかり紹介していても不公平かな?と思うので、本日はちょっと勘弁、の一つをご紹介。
虫の類いが苦手な方、お食事前または最中の方、どうぞ余所へお出でませ。

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現在の私の住まいは築20年にならんとする学生寮。ハワイによくあるタイプの造りで、一階がブロック積み上げ、2階が木造。 ここに来る以前には、木造モルタルの一軒家とか低層アパート、高層マンション(コンドミニアム、略してコンド)セキュリティ付き、なんて言うのまで様々な種類の建物に住んだことあり。

が、この中で虫又は鳥などの小動物の被害に遇わなかったのは高層マンションだけ。あとは総て、生活に身近な、蚊やハエは勿論、蟻、ゴキブリ、シロアリ、ゲッコー(家守)、タートル・ダフ(亀鳩)などと住環境の衝突が起きた。(苦笑)

ハワイは天候に恵まれ、老後をこちらでと望む人も多い。が、人間にとって住みやすいという事は、他の動植物にも棲みやすいということだ。 そして、人も動物も植物も、お互いの住環境がダブっていながら境界線はないのだから油断禁物。

さて、何奴から参ろうか?やはり虫、シロアリ(ターマイト、termite)が最初に来るべきだろう。シロアリは日本にもいるが、 ハワイの木造建築物は例外なくシロアリの標的であり、その被害もかなりあるのだから。

ある日ふと気がつくと、ドアの下に木の色をした細かい粒子あり。
となると、これはシロアリがそのドアに巣くっていて、せっせと中へ進行中というサインだ。 しかし、これは氷山の一角。まだシロアリの害が目に付きやすくてましな方。

なんだか家がよく揺れ、ぎしぎしミシミシ音がする…。
ヤバイっと勘が働いて九死に一生を得た。 目の前で、たった今まで住んでいた家が傾いた、又は潰れた、などと言うのが時折ニュースになる土地柄である。

ここまでシロアリに食い尽くされないように、駆除会社に頼んで定期的にシロアリの巣に薬剤を注入してもらう等、様々な手がある。 また、建物全体ではなく部分的な被害ですむことも多い。しかし、それでもシロアリとの共同生活はあまり気持ちいいものではない。

シロアリは夏6月頃から羽化する。これが電灯の光に誘われるのか、部屋の中や外を大量に集団で飛び交うのが始末に終えない。 更に、彼らは直ぐに羽がとれてしまい、裸一貫新居となる手近な木の中へ潜り込むのである。 で、彼らの飛び交った後には大量の羽が残されることになる。

箒で掃くとふわふわ舞い上がるこれを電気掃除機で一生懸命吸い取り、なおかつ羽の落ちていた近くの本棚の一冊一冊を見ていくと、ちゃんと潜り込まれた痕跡あり。
つまり、木に限らずパルプ系の材質はすべてシロアリにとっては食材なので、文庫本(ペーパー・バック)など安い紙で製本されている本は危ない。 ピンセットでつついたような、綺麗な丸い穴が各ページに空いているようなことになる。

羽化したシロアリは家守の餌だが、羽化前のシロアリの天敵は蟻である。だから、シロアリのいる所蟻もいる。 ところが、蟻の食べ物はシロアリだけではない。人間の食べ物も当然彼らの餌になる。 もっとも、ハワイの蟻はその姿形が種類によって随分違うように、食べ物の好みも色々あるようだ。

黒くて小さい蟻は、甘いものとシロアリが食餌になるようだ。また水分も好きで、台所の水気を吸った布巾などにたかっていたりもする。
私のやった大失敗は、パイを食べたあとお皿を片づけ忘れたこと。あれこれ調べ物をして、テーブルのことはすっかり忘れきって2時間ほど経ってから、 きゃーっ!

天井からテーブルの上の皿まで黒い動く帯が出来ている。皿の上はもちろん円形に黒くなっている訳で、素手で皿をとるなんて以ての外。 仕方ないので、キッチン手袋をはめてから大急ぎで皿を流しへ持っていき、水刑。直後、目的地を失ってウロチョロしている黒い集団目掛けてスプレーを放つ。 アメリカの駆虫剤はどれも強烈で、虫が死ぬ前に人間が死にそうな臭いである。ので、シューシューやった後は人間も急遽退避することになる。

赤くて大きくて、体色が透き通った感じの蟻もいる。クラスメートで、此奴に咬まれて顔中腫れて大変だったという話を聞いたことがある。 ところが私はこのデカイ奴と、何と目が合ってしまったのだ。超〜〜〜怖かった!

朝の光の中でぼやんと目覚めて、まだベッドにしがみついていた。ゴロンと寝返りを打って、んん?ふんむ。誰かに見られている気がする。んなアホな、むにゃ。 と寝ぼけ眼を開けてみた。勿論枕につっぷしたまま。で、見開いた目の先に何かいる。ふ〜ん?
と、よくよく見れば、枕の端にのっかっているでっかい蟻がじーっとこちらを見ていた。

ひぃ〜〜っ!と一発で目が覚めたけれど、固まってしまって動けない。
「蛇に睨まれたカエル」ってのは聞いたことがあるが、「蟻に睨まれた人間」なんてどこにもいないぞ!迂闊に動いて、咬まれたらどうしよう?!と思い、じっと睨めっこが続いた。多分、ほんの数秒だったのだろうが、私には恐怖のなが〜い数秒だった。


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(まだまだある虫・鳥・家守との共存生活誌。スイマセン、終わらないので残りは後日)

つづく  

(2001.11.25)



 

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